前回、社会保険労務士は、企業、行政、労働者の三者に囲まれた
立ち位置にいるという話をしました。
今回は、それを踏まえてどのような立ち位置を取ればよいのかの
一つの参考例をあげたいなと思います。
社会保険労務士の立ち位置を考える際、
次の問いかけが重要になってくるかと思います。
それは、
「なぜ社労士が求められるのか?」
です。
それぞれの立場から、「なぜ社労士が求められるのか」
を考えることで自ずと立ち位置が見えてくるかと思います。
まず企業からすると、「なぜ社労士に頼むのか」
ということですが、「法律を守るため」ではありません。
もちろん、コンプライアンスが叫ばれている世の中ですし、
社労士も「よーし法律を守るようビシバシ指導するぞ」と
いうスタンスを取りたくなる気持ちはわかりますが、企業は
9割5分方、そのようなことは求めていないのが現実です。
次に労働者ですが、労働者が社労士に期待するのは、
「権利の着実な擁護」です。
ここで言う「権利」とは、法的な権利はもちろんですが、
働く上で得られるものを包括するものとご理解ください。
ちょっとわかりにくいので例を出すと、いくら年次有給休暇の
取得率が100%となっても、残業代が1分単位で完璧に
払われていたとしても、企業が潰れてしまえば意味がありません。
逆に、企業が存続しても、年次有給休暇がまったく
付与されなかったりしたら、権利が擁護されているとは
言えません。
もしこのような企業だとしても、社労士が関わることに
より、権利が不当に侵害されないことにつながれば、
労働者にとって社労士の存在意義が高まります。
そして最後に行政の社労士に対する期待は、
「社会保険労務行政の円滑な運営への寄与」
でしょう。
それは前回「社会保険労務士法」の目的の話をしましたが、
そもそも社会保険労務士制度が作られたのは、「社会保険
労務について適正に円滑に実施するため」ということで、行政を
敵視するためではありません。
以上のように、「社労士が求められる理由」を各々の
立場から考えると、立ち位置の問題で見えてくるものがあります。
それは、結局、立ち位置としては、
WIN-WIN-WINを常に考えることが最もいいという
結論です。
もちろん、これは簡単ではありませんし、中には
「理想だ」とおっしゃる方もいることでしょう。
しかし、個人的にはより高いレベルでWIN-WIN-WIN
を創造していくことで、「選ばれる」社労士になるのだと
思っております。
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